1.初張力とは…
初張力はどのようにして発生するのでしょうか。
密着巻きにするときに、押しばねを巻くときのピッチを出す方向とは反対方向に線を乗り上げ巻き込むようにコイリングします。
そうすると、負荷がなくてもコイルが互いに密着しようとする力が強く働きます。
この密着しようとする力が初張力です。初張力は加工方法で強くも弱くもなります。
2.初張力の式
初張力は、次の式で求めることができます。
初張力=(円周率×線径3)÷(8×コイル平均径)×初せん断未修正応力
上記の式で、「円周率」「線径」「コイル平均径」はすぐにわかりますが、
「初せん断未修正応力」はどのようにして求めるのでしょうか?
初せん断未修正応力を求めるには、以下のグラフを使います。
縦軸が「初せん断未修正応力」の値で、横軸がcばね指数(Dコイル平均径÷d線径)です。
グラフを見てもわかるように、「初せん断未修正応力」にはある程度の幅があります。
このグラフで読み取った数値を、上記の式に当てはめて初張力の計算を行います。
このグラフで注意する点が2つあります。
①このグラフは、テンパー処理(低温焼きなまし)を行う前の数値です。ばねは熱処理を行いますが、熱処理すると初張力は減少します。
②このグラフは、硬鋼線及びピアノ線の「初せん断未修正応力」を示したグラフです。ステンレス鋼線など他の材質の場合には、この数値を修正する必要があります。
以上の点に注意して、求めた初張力を修正しないといけません。
3.初張力の計算値の修正
①テンパー処理による修正
硬鋼線・ピアノ線は20~35%減にします。
ばね用ステンレス鋼線は15~25%減にします。
②材質による修正
ばね用ステンレス鋼線は硬鋼線・ピアノ線の15%減にします。
リン青銅・黄銅線・洋白線は硬鋼線・ピアノ線の50%減にします。
ばね用ステンレス鋼線の場合、
グラフの値から求めた初張力に対して材質による修正で15%減にした後、
テンパー処理による減少としてさらに15~25%減少した値が「実際の妥当な初張力」の値になります。
この減少させる計算をせずに設計すると、「極めて強い初張力」を持つ引きばねを製造しないといけなくなり、コスト高や製造不可になる場合もあります。
とくにテンパー処理による初張力減少は設計時に忘れやすいので注意しましょう。
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