月刊「PHP Business THE21」に掲載されました。
吉村篤月刊「PHP Business THE21」 2016年11月号
BUSINESS PERSON―話題の企業人を追って-シリーズ第65回
日本のものづくりに大きく貢献
生活の安全を支え、便利を作る東大阪の「ばねの匠」
普段あまり意識することがないばね。しかし、携帯電話やボールペンなど生活の様々な場面で顔をのぞかせる。また、最先端をいく自動車や航空宇宙などの産業に欠かすことのできないパーツでもある。そんな重要部品を作り続けて67年、フセハツ工業株式会社の吉村篤社長に話を伺った。
ものづくりの町・東大阪市に本社を構える同社は確かな品質で高い評価を受けているばねの総合メーカーだ。
「伝統的な職人技術を大切にしながら、最新の設備による生産技術によってお客さまが求める品質・価格・納期にお応えしています」と話す吉村社長。
大阪明星高校を経て、早稲田大学法学部に進学、卒業後は教育関係に携わるも、28歳の時に家業である同社から声がかかった。
「決して後継者として呼ばれたわけではありません。それこそ苦情の処理から製造現場の手伝い、在庫管理、機械の廃棄までありとあらゆる仕事をこなしました」
と当時を振り返る吉村社長。この時の苦労が後に経営者として辣腕を振るう礎になっているのだろう。
業務改革と意識改革 技術革新にも乗り出す
2014年に同社4代目社長に就任するなり社内改革を断行する。
「やや商社的」(吉村社長)になっていた業務をものづくりの会社へと回帰。1個のばねの試作から何百万個の量産まで、そして組立作業の効率化も含め、顧客とともに専属の営業担当者が一緒に考え、全面的にサポートする体制を構築した。
昨年11月には『航空機産業向け耐熱性ばねの試作サービス』を開始し、経済産業省より補助金の交付を得るなど技術革新にも余念がない。
同時に、若手社員の育成にも並々ならぬ意欲を燃やす。社長就任年から新卒採用を開始。採用基準は「ものづくり大好き人間」「社長になりたいと発言できるような向上心の持ち主」だという。
さらに組織の意思を横断的に疎通させるため、定期的に会合を開くように。吉村社長及び役員に加え、品質管理部長、20代の第一製造部長、30代の第二製造部長も参加。若手と熟練、ハイテクとローテクがうまくかみ合った新生・フセハツ工業を目指している。
現在の中心は自動車関連部品で、実は日本にあるほぼ全てのマニュアル車に搭載されているという同社のばね。面白いところでは美容室のチェアーや洗濯バサミ、自転車のサドル部分にも使われているという。
「ばねの世界は『こんなところにも!』という驚きの広さです。近年はWEB取引にも力を入れており、新規のご注文は10%にもなりました。製鉄会社や大手電機メーカー、皆さんがご存じの有名な劇団からも引き合いがありましたよ」
と笑顔で話す吉村社長。
この穏やかで優しいリーダーの情熱をエンジンに同社の躍進は今後ますます加速していくことだろう。
>月刊「PHP Business THE21」 話題の企業人を追って(PDF)
■フセハツ工業株式会社 大阪府東大阪市西堤本通西1-3-43
http://www.fusehatsu.co.jp ☎06-6789-5531
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