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2015/06/04

東大阪市ーモノづくりのまちの歴史 日本ばね学会会報

吉村篤
ばねとくらす

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日本ばね学会会報(2015年8月号)に、フセハツ工業の記事が掲載されます。地元の歴史・風土についての紹介記事です。

 

■東大阪市について

東大阪市は河内の中央部に位置する人口50万人の中核都市です。1967年(昭和42年)に布施市・河内市・枚岡市が合併して発足しました。

「モノづくりのまち」として全国的に有名で、都市別工場密度は「全国1位」です。東大阪市の中小企業が集まり開発した人工衛星「まいど1号」が2009年に打ち上げられたことは記憶に新しいところです。

 

■東大阪の歴史

歴史的には、東大阪市は河内国の中央部にあることから、昔から数多くの権力闘争の舞台となってきました。

古代には物部氏の本拠地として栄えました。蘇我氏との闘争に敗れた物部一族はこの地で終焉を迎えています。

室町時代には三管領の一つ畠山氏が河内国の守護となり、中心拠点として東大阪に若江城を築きました。

その後、畠山氏は河内国の跡目争いで分裂し、応仁の乱のきっかけを作ります。畠山氏は内部闘争を繰返しながら没落していき、実権は家来である遊佐氏に移ります。

阿波から上洛した三好長慶はこの遊佐氏から妻を迎え、河内国に拠点を築き、室町将軍を傀儡化して大きな権力を持ちました。東大阪はまさに下剋上の中心舞台でした。

若江城はその後も歴史の舞台になります。

織田信長が将軍足利義昭を追放したとき、義昭は最初に若江城に身を潜めました。また、石山本願寺攻めのときには、若江城が織田信長の本陣となりました。

本能寺の変後は、清州会議により羽柴秀吉が河内国を領有することとなり、大坂城が築かれると、河内国の重要拠点であった若江城は廃城となりました。現在、若江城跡には、若江小学校が建っており、私の母校でもあります。

大阪夏の陣では、若江が激戦地となります。大坂方武将の木村重成は徳川方の藤堂隊を壊滅寸前まで追い詰めています。木村重成は最後には若江で戦死しますが、今でも地元では慕われています。

 

■「モノづくりのまち」のはじまり

東大阪は、江戸時代以降は権力闘争の舞台から下り、いよいよ地場産業が発展していくことになります。

1704年(宝永元年)に洪水対策として大和川の付け替える大土木工事が行われました。当時、大和川は暴れ川で、大洪水で多くの人命が失われていました。これを見かねた中甚兵衛の度重なる嘆願が幕府に認められ、この大プロジェクトが始められました。

この工事により旧大和川流域に広大な埋立地が誕生し、そこで木綿栽培が盛んに行われるようになったことが、後の「モノづくりのまち」の源流になっていきます。

東大阪の過去の地場産業の歴史をみると、木綿産業・伸線産業・金網産業・鋳物産業・作業工具産業・鋲螺産業とさまざまな産業があります。当時は全国的にかなりのシェアを占めた産業もあります。

現在では廃れてしまった地場産業もありますが、これらの多種多様な地場産業による過去の集積が現在の「モノづくりのまち」の土台となっています。

 

■フセハツ工業について

フセハツ工業のある布施地区(旧 布施市)では鋳物・金物・鋲螺などの産業が盛んでした。戦前、当社の創業者は布施の金物会社に丁稚奉公し、戦後にばね屋を個人創業しました。

戦後すぐの時代は不況で、仕入れた金物を売って生計を立てながら、ばねの製造技術の研究をしたそうです。

会社組織になったのは1950年(昭和25年)です。当時の社名は「布施発條工業所」といいました。現在の社名「フセハツ工業」というのは、ここに由来しています。

昭和30年~40年には、自動車関連ばね部品を生産するようになりました。

また、自社のオリジナル商品として「エキスパンダー」や「ハンドグリップ」などのばねを使ったスポーツ用品をいろいろ考案し、製造販売するようになりました。当時は、新商品の実用新案を取り、海外貿易なども行っていました。

東大阪ではフセハツ工業から独立して開業したばね屋さんも多く、十数社になります。

 

■東大阪の名所・名物あれこれ

最後に東大阪の名所・名物をあれこれ紹介します。

フセハツ工業の最寄り駅は近鉄奈良線の河内小阪駅ですが、小阪の街は司馬遼太郎の自宅があり、現在は「司馬遼太郎記念館」として、安藤忠雄氏建築の記念館と共に開放されています。

小阪はハウス食品の発祥の地です。当時は、街中に「ボンカレー」の匂いが漂っていたそうです。今でもハウス食品本社が駅前近くにあります。

また、東大阪花園ラグビー場は日本で最初のラグビー専用競技場です。高校ラグビー日本一を決めるラグビーの甲子園として全国的に有名です。東大阪市は、2019年に開催されるラグビーワールドカップの開催地にも決定しています。

(日本ばね学会会報 2015年8月号 掲載記事)

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