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ばね材料の化学成分ー「鋼」と「金属の五大元素」

ばね材料の化学成分にはさまざまなものがあります。主要なばね材料に含まれている化学成分の元素の働きについて説明します。

はじめに、そもそも「鋼」とは何か、金属の五大元素であるC(炭素)・Si(ケイ素)・Mn(マンガン)・P(リン)・S(硫黄)についての説明です。

 

 

  

>特殊な化学成分1(Cr・Ni・Cu・V・Mo について)

 

>特殊な化学成分2(Al・W・B・N・Ti について)

 

>主要原料の鉄と鉄鉱石について

 

 

 

ばね材料の種類ごとの化学成分については、下記のページの一覧表をご参照ください。

 

 

 

>ピアノ線材の種類と化学成分

 

>硬鋼線材の種類と化学成分

 

>オイルテンパー線の種類と化学成分

 

>ステンレス鋼線の種類と化学成分

 

>板ばね材料の種類と化学成分 

 

>みがき特殊鋼帯の種類と化学成分

 

>ばね鋼の種類と化学成分(熱間成形)

 

>ばね材料のJIS規格一覧 

 

>ばね材料販売

 

>ばねの試作 1個でも…

 

>ばね製品の使用例

 

>お問い合わせはこちらから

 

 

鋼(はがね)とは何か―鉄と鋼の違いについて

鋼(はがね)とはそもそもどのような金属なのでしょうか。鉄とどのように違うのでしょうか。厳密な金属学上の定義では、C(炭素)の含有量の範囲で次のように区分されます。

 

 鉄  0.0218%以下

 鋼  0.0218%~2.14%

 鋳鉄 2.14%以上

 

 しかし、一般的にはCの含有量が0.3%から2.0%のものを「鋼」といっています。0.02%~0.3%までのものは「軟鉄」といわれます。炭素量が0.0218%以下の金属学上の鉄は「純鉄」ともいわれており、産業上はあまり使用されることはありません。「鋼」が圧倒的な重要性を持っています。

 

 また、炭素の含有量で下記のように分類したりもします。

 

 低炭素鋼 0.3%以下

 中炭素鋼 0.3%~0.7%

 高炭素鋼 0.7%以上

 

 ただし、例外としてステンレス鋼や耐熱鋼は、炭素の含有量がこの範囲よりも少なくても鋼として扱われています。

 

 鋼には「炭素鋼」という面と、「合金鋼」という面があります。炭素以外のさまざまな化学元素を人工的に添加することで、鉄の性能を高めることができます。例えば、強度、靭性、焼入れ性、焼戻し性、耐熱性などです。産業が発達するにつれて、さまざまな合金鋼が開発され、鋼の定義は拡大されてきました。

 

 鋼はもともと「刃金」からきており、鉄器時代より刃先の鍛錬された硬い部分を指していました。産業が発達し定義が拡大しても、この「硬い」とか「強靭」というイメージは太古の昔から不変のようです。 

 

 

 

>特殊な化学成分1(Cr・Ni・Cu・V・Moについて)

 

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炭素鋼と合金鋼について

 炭素鋼は主な合金元素が炭素のみの鋼をいいます。他の成分が入っていても基本的には不純物とみなされます。

 ピアノ線や硬鋼線、炭素鋼オイルテンパー線、炭素鋼、炭素工具鋼などは、炭素以外の化学成分は基本的には不純物とみなされます。

 

 炭素以外の化学成分は、積極的に鋼の性質を改善するために添加したものではなく、そもそも完全に取り除くことが難しいものや、製鋼時の脱酸剤として添加されたものが残ったものだからです。

 

 合金鋼は炭素以外の化学成分を意図的に加えて鋼の性質を改善したものです。炭素鋼では不純物とみなされたものでも、合金鋼では意図的に加えて鋼の性質を改善することがあります。

 

 このように、化学成分は、取り除こうと思ってもやむを得ず入ったものか、鋼を改善する目的で意図的に添加したものかで、同じ元素でも役割が正反対になることがあります。

 

 

 

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鋼の主要5元素

鋼の主要5元素はすべてのばね材料で数量が規定されています。主要5元素とは、C(炭素)・Si(ケイ素)・Mn(マンガン)・P(リン)・S(硫黄)をいいます。

 

C 炭素・カーボン 原子番号6 

 

鋼の主要5元素の一つ。鋼の性質を決める最も重要な元素。炭素が多くなるほど引張り強さが増すが、逆に靭性が小さくなります(脆くなる)。

 

鋼の溶接性については、炭素が多くなるほど溶接性は悪くなります。ばね材料は高炭素なため溶接が難しい材料です。溶接後、なまし工程が必須になります。

 

また、炭素が多いと溶融温度が下がるため、鋳造がやり易くなります。鋳鉄は炭素を多く含みます。

 

炭素は地球上に化合物として陸・海・空に広く分布しています。炭素の単体は、木などを不完全燃焼させれば木炭として簡単に取り出せるため、有史以前から広く知られており、特定の発見者というものはありません。

 

ダイヤモンドが炭素の単体であるということは、1772年にラヴォアジエによって発見されました。アントワーヌ・ラヴォアジエは「質量保存の法則」や「酸素の命名者」(ちなみに発見者はプリーストリー)としても知られ、近代科学の父と言われています。

 

Si ケイ素・シリコン 原子番号14 

 

鋼の主要5元素の一つ。地球の主要な構成元素の一つ。地殻中に大量に存在します。

 

ケイ素合金として製鉄時に脱酸素剤として使われ、鋼の中に意図せずに残る化学成分です。炭素鋼では、基本的には不純物とみなされています。

 

0.5%以下では、フェライトに固溶し靭性を損なわずに強度を上げる働きがあります。まら、300℃以下の焼戻し抵抗を上げ、ばねの耐へたり性を改善します。

 

オイルテンパー線では、耐へたり性や耐熱性を向上させる目的で1.2%~2.2%を加えます。

 

シリコンは、1787年にアントワーヌ・ラヴォアジエが初めて元素の一つとして発表しました。現在では半導体部品として非常に多く利用されています。また、シリコンの化合物はセラミックスやアスベストなどの主成分にもなっています。

 

Mn マンガン 原子番号25 

 

鋼の主要5元素の一つ。マンガンはシリコンと同じく、製鋼時の脱炭剤として使用され、炭素鋼では不純物とされています。しかし、マンガンは合金鋼として耐摩耗性・耐食性・靭性を向上させるために意図的に添加されることがあります。

 

焼入れ性を上げるためには不可欠の化学元素です。耐へたり性については、シリコンほど効果はないとされています。

 

マンガンはスウェーデンのカール・シェーレにより1774年に発見されました。シェーレは酸素と窒素を最初に発見したとされていますが、見逃してしまったことで有名です。

 

マンガン鉱山は、戦前は近畿地方を中心に小さな鉱山が多数存在し、主にマンガン電池用に採掘されていました。

 

P リン 原子番号15 

 

鋼の主要5元素の一つ。リンは鋼の機械的性質に対してさまざまな悪影響を及ぼす代表的な化学成分です。

 

どんな鋼にとっても厳しく管理すべき不純物として扱われています。鍛接性や耐候性に若干のメリットがあるとされていますが、デメリットのほうが大きいようです。

 

リンは1669年にヘニング・ブラントが錬金術の中で発見しました。銀を金にかえる物質が尿の中にあると確信し、いろいろ実験をしているうちに偶然に発見しました。

 

現在では、リンは化学肥料や農薬、殺虫剤の原料としてよく使用されています。

 

S 硫黄 原子番号16 

 

鋼の主要5元素の一つ。リンと同じく基本的にはどの鋼に対しても不純物質です。疲れ強さやへたり性に対しては目立った悪影響はありませんが、溶接性や絞り、耐食性に悪い影響があります。

 

しかし、快削鋼においては硫黄の欠点を逆手に取って、切削性の向上に利用しています。

 

硫黄は火山と関連した鉱物で、天然で多数存在しています。日本は火山列島として古くから露天掘りされていました。国産硫黄は純度が高く、明治期にはマッチの原料としてさかんに鉱山開発が行われました。

 

硫黄から産出される硫酸は工業上最も重要な化学薬品として広く使用されています。

 

 

 

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■ばねの化学成分に関連する項目 

 

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