みがき特殊鋼帯の硬さの規格の一覧表です。
板ばね材料の硬さの単位 HVについて HVはビッカース硬さの単位です。ビッカース硬さの値の求め方は、まずピラミッド型をした正四角錐のダイヤモンドを金属に押し付け、へこみの対角線の平均値から表面積を算出します。次に、試験で押し付けた荷重値を、先に算出しておいた表面積で割った値をビッカース硬さ(HV)とします(荷重/表面積)。
|
みがき特殊鋼帯の硬さは「JIS G 3311 みがき特殊鋼帯」に規格化されています。調質区分ごとの「硬さ」は次のようになります。
炭素鋼
単位はHV
区分 | 記号 | 焼きなまし | 冷間圧延 |
炭素鋼 | S30CM | 160以下 | 160~230 |
炭素鋼 | S35CM | 170以下 | 170~250 |
炭素鋼 | S45CM | 170以下 | 170~250 |
炭素鋼 | S50CM | 180以下 | 180~270 |
炭素鋼 |
S55CM |
180以下 | 180~270 |
炭素鋼 | S60CM | 190以下 | 190~280 |
炭素鋼 | S65CM | 190以下 | 190~280 |
炭素鋼 | S70CM | 190以下 | 190~280 |
炭素鋼 | S75CM | 200以下 |
200~290 |
炭素工具鋼
単位HV
区分 | 記号 | 焼きなまし | 冷間圧延 |
炭素工具鋼 |
SK120M(SK2) |
180以下 | 220~310 |
炭素工具鋼 | SK105M(SK3) | 190以下 | 220~310 |
炭素工具鋼 | SK95M(SK4) | 190以下 | 210~300 |
炭素工具鋼 | SK85(SK5) | 190以下 | 200~290 |
炭素工具鋼 | SK75(SK6) | 190以下 | 190~280 |
炭素工具鋼 | SK65(SK7) | 200以下 | 190~280 |
合金工具鋼
単位HV
区分 | 記号 | 焼きなまし | 冷間圧延 |
合金工具鋼 |
SKS2M |
230以下 | 230~320 |
合金工具鋼 | SKS5M | 200以下 | 200~290 |
合金工具鋼 | SKS51M | 200以下 | 200~290 |
合金工具鋼 | SKS7M | 250以下 | 250~340 |
合金工具鋼 | SKS95M | 200以下 | 200~290 |
クロム鋼
単位HV
区分 | 記号 | 焼きなまし | 冷間圧延 |
クロム鋼 | SCr420M | 180以下 | 180~270 |
クロム鋼 | SCr435M | 190以下 | 190~270 |
クロム鋼 | SCr440M | 200以下 | 200~290 |
ニッケルクロム鋼
単位HV
区分 | 記号 | 焼きなまし | 冷間圧延 |
ニッケルクロム鋼 | SNC415M | 170以下 | 170~240 |
ニッケルクロム鋼 |
SNC631M |
180以下 | 180~240 |
ニッケルクロム鋼 | SNS836M | 190以下 | 190~250 |
ニッケルクロムモリブデン鋼
単位HV
区分 | 記号 | 焼きなまし | 冷間圧延 |
ニッケルクロムモリブデン鋼 | SNCM220M | 180以下 | 180~240 |
ニッケルクロムモリブデン鋼 | SNCM415M | 170以下 | 170~240 |
クロムモリブデン鋼
単位HV
区分 | 記号 | 焼きなまし | 冷間圧延 |
クロムモリブデン鋼 | SCM415M | 170以下 | 170~240 |
クロムモリブデン鋼 | SCM430M | 180以下 | 180~250 |
クロムモリブデン鋼 | SCM435M | 190以下 | 190~270 |
クロムモリブデン鋼 | SCM440M | 200以下 | 200~280 |
ばね鋼
単位HV
区分 | 記号 | 焼きなまし | 冷間圧延 |
ばね鋼 | SUP6M | 210以下 | 210~310 |
ばね鋼 | SUP9M | 200以下 | 200~290 |
ばね鋼 | SUP10M | 200以下 | 200~290 |
マンガン鋼
単位HV
区分 | 記号 | 焼きなまし | 冷間圧延 |
マンガン鋼 | SMn438M | 200以下 | 200~290 |
マンガン鋼 | SMn443M | 200以下 | 200~290 |
ばね用ステンレス鋼帯の硬さは「JIS G 4313 ばね用ステンレス鋼帯」に規格化されています。ばね用ステンレス鋼帯の調質区分ごとの硬さは次のようになります。ステンレス鋼帯の種類は、オーステナイト系、マルテンサイト径、析出硬化系の3つに区分されます。
オーステナイト系ステンレス鋼帯
オーステナイト系ステンレス鋼帯の「硬さ」の規格は次のようになります。
単位HV
1/2H | 3/4H | H | EH | SEH | |
SUS301-CSP |
310以上 V曲げ厚さの2倍以下 |
370以上 V曲げ厚さの2.5倍以下 |
430以上 | 490以上 | 530以上 |
SUS304-CSP |
250以上 V曲げ厚さの2倍以下 |
310以上 V曲げ厚さの2.5倍以下 |
370以上 | ― | ― |
オーステナイト系ステンレス鋼帯の「引張強さ」の規格は次のようになります。
単位N/mm2
1/2H | 3/4H | H | EH | SEH | |
SUS301-CSP | 930以上 | 1130以上 | 1320以上 | 1570以上 | 1740以上 |
SUS304-CSP | 780以上 | 930以上 | 1130以上 | ― | ― |
マルテンサイト系ステンレス鋼帯
マルテンサイト系ステンレス鋼帯は調質Oの1種類だけで、「硬さ」は次のようになります。
単位HV
O |
|
SUS420J2-CSP |
247以下 |
マルテンサイト系ステンレス鋼帯の「引張強さ」の規格は次のようになります。
単位N/mm2
O | |
SUS420J2-CSP | 540~740 |
焼きなましは800~900℃徐冷又は750℃急冷を行います。
焼入れ温度は920~980℃油冷で、焼戻しは600~750℃急冷を行います。
析出硬化系ステンレス鋼帯
析出硬化系ステンレス鋼帯の「硬さ」の規格は次のようになります。析出硬化処理の前後について規格がなされています。
単位HV
0 | 1/2H | 3/4H | H | |
SUS631-CSP (析出硬化熱処理前) |
200以下 V曲げ厚さの2倍以下 |
350以上 V曲げ厚さの1.5倍以下 |
400以上 | 450以上 |
SUS631-CSP (析出硬化熱処理後) |
345以上(TH1050) 392以上(RH950) |
380以上(CH) | 450以上(CH) | 530以上(CH) |
SUS632J1-CSP (析出硬化処理前) |
― | 350以下 | 420以下 | ― |
SUS632J1-CSP (析出硬化熱処理後) |
― | 400以上(CH) | 480以上(CH) | ― |
熱処理記号:TH1050
固溶化熱処理後、760±15℃に90分保持し、1時間以内に15℃以下に冷却し30分保持します。その後、565±10℃で90分保持して、空冷します。
熱処理記号:RH950
固溶化熱処理後、955±10℃に10分保持し、室温まで空冷し24時間以内に-73±6℃に8時間保持します。その後、510℃±10℃に60分保持して空冷します。
熱処理記号:CH
475±10℃で1時間保持後、空冷します。
固溶化熱処理
鉄鋼を十分に加熱して合金成分を固体に溶け込ませ、析出物を出さないように急冷する熱処理をいいます。析出硬化処理の前処理として行われます。SUS631の調質0の場合、1000~1100℃急冷します。
一般的には、硬度を高めたり、加工・溶接などによって生じた内部応力の除去や、劣化した耐食性の向上を目的として行います。
析出硬化熱処理
ステンレス鋼に炭窒化物を細かく析出させて金属結晶の転位を妨害することにより材料を強化する熱処理方法です。固溶化熱処理の後、時効硬化を人工的に行います。
時効とは、金属の材料特性が時間の経過とともに変化することをいいます。常温で変化していく場合は「常温時効」または「自然時効」といいます。常温以上の高温で変化が進んでいく場合を「人工時効」または「焼戻し時効」といいます。
析出硬化系ステンレス鋼帯の「引張強さ」は次のようになります。
単位N/mm2
0 | 1/2H | 3/4H | H | |
SUS631-CSP | 1030以下 | 1080以上 | 1180以上 | 1420以上 |
SUS632J1-CSP | 1200以下 | 1450以下 |
「いいね!」ボタンを押すと最新情報がすぐに確認できるようになります。
>YouTubeチャンネル【ばねの総合メーカー「フセハツ工業」】新着製造動画、更新中です!
■板ばね関連する項目
プロバスケットボールチーム「大阪エヴェッサ」の公式スポンサーになりました!
>ブログ「ばねとくらす」【プロバスケットボールチームの公式スポンサーになりました】
メールアドレスはこちら