①密着コイルばねには防錆のための塗装処理は向きません。密着部分には塗膜が形成されないので、防食性を低下させます。
② ショットピーニング処理をしたばねの場合、塗装の焼付け温度や乾燥温度が高いと、ショットピーニングの効果が低下します。温度管理に注意が必要です。
はけ塗り(マーカー塗装)は、簡単に塗装できますが、生産性が低く防食効果もそれほどありません。主として製品識別のために色を塗る場合に用います。
当社では、ワイヤーリングのV溝検査終了後、検査済識別のためのマーキングや、よく似たばねを識別するために顧客より指定された色を押しばねの片方の研削面にマーキングする場合などにこの方法を使っています。
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浸漬塗装は、ばねを直接塗料槽に浸漬したのち、余分な塗料を遠心振り切りして塗装する方法です。俗にドブ漬けともいいます。
複雑な形状のばねの塗装に向いていますが、塗料が溜まりやすい形状の板ばねには適していません。
電着塗装は、水溶性にした塗料の中にばねを入れ、電流を流して塗膜を析出させる方法です。電着塗装は塗膜が形成されるに従い電流が流れにくくなるので、均一な膜厚が得られます。
電着塗装にはアニオン電着塗装とカチオン電着塗装があります。
アニオン電着塗装
アニオン電着塗装は、ばねを陽極にして塗料を電解します。ばねから金属イオンが溶出するので、耐食性は劣ります。現在ではあまり用いられない方法です。
カチオン電着塗装
カチオン電着塗装は、ばねを陰極にして塗料を電解します。ばねから金属イオンが溶出しないので、耐食性に優れます。
電着塗装の注意点
電着塗装は水素脆化のおそれがあるので、高応力に使用されるばねに塗装する場合には注意が必要です。
静電塗装は、塗料の粒子を高電圧静電で負に帯電させ、正電極のばねに付着させる方法です。普通のエアーガンによるスプレー塗装よりも、均一な塗膜が得られ、塗装効率がよいのが特徴です。
一般に、自動車や白物家電の筺体の塗装に利用される方法です。
焼付塗装は、焼き付けることで硬化する焼付硬化タイプの塗料を使用する塗装です。自然乾燥タイプの塗料を早く乾燥させるために高温で強制乾燥させることとは違います。
一般的に、120℃から200℃の温度で約30分間加熱します。
粉体塗装は、負に帯電させた粉末状のプラスチックをばねに付着させ、付着した樹脂の粉体を加熱溶融して塗装膜をつくる方法です。塗膜は冷却することで硬化します。 粉体焼付け塗装ともいいます。
あまった粉体は回収され再利用されるので環境汚染が少なく、塗膜性も非常に優れています。
また、前処理として一般的にリン酸塩皮膜処理が行われます。
静電塗装や焼付塗装と似ていますが、静電塗装と違い塗料は固体の粉末であり、加熱して塗料を硬化させるのではないので焼付塗装とは違います。
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