ねじりコイルばねの公差(許容差)の規格
ねじりコイルばねの公差が記載されている規格には、下記のものがあります。
1.JIS規格
ねじりばね:JIS B 2704-2 「コイルばね-第2部:仕様の表し方」
2.JSMA規格(日本ばね工業会規格)→日本ばね工業会
JSMA SB001-1 「冷間成形コイルばね-第1部:基本計算方法」
JSMA SB001-2 「冷間成形コイルばね-第2部:仕様の表し方」
ねじりコイルばねのコイル部の寸法公差(許容差)は、ばね指数(D/d)によって3つに区分されます。それぞれの区分に1級から3級まで定められています。
ばね指数とは、D:コイル平均径をd:材料の直径で割った数値です。ばね指数が大きくなるにつれて寸法はバラツキやすくなり、公差(許容差)は大きくなります。
公差(許容差)は、パーセントと最小値の2種類が定められていますが、比較して絶対値の大きいほうに適用します。
公差(許容差)は、片側につけることもできます。この場合には、規格の±の範囲を片側にとることになります。例えば、規格範囲が±0.2mmでプラス側にだけに公差(許容差)をとる場合には、0mmから+0.4mmとなります。
また、ばね特性(ばね定数や荷重)に公差(許容差)をつける場合は、寸法は参考数値となります。
コイル直径の公差(許容差)
ばねの用途に応じて、内径または外径に指定します。一般的にはコイル平均径に公差(許容差)は指定しません。
ばね指数 4以上8以下
1級・・・±1.0%、最小値±0.15mm
2級・・・±1.5%、最小値±0.20mm
3級・・・±2.5%、最小値±0.40mm
ばね指数 8以上15以下
1級・・・±1.5%、最小値±0.20mm
2級・・・±2.0%、最小値±0.30mm
3級・・・±3.0%、最小値±0.50mm
ばね指数 15以上22以下
1級・・・±2.0%、最小値±0.30mm
2級・・・±3.0%、最小値±0.50mm
3級・・・±4.0%、最小値±0.70mm
コイル部の長さの公差(許容差)
コイル部が密着巻の場合には適用しません。
ばね指数 4以上8以下
1級・・・±1.0%、最小値±0.2mm
2級・・・±2.0%、最小値±0.5mm
3級・・・±3.0%、最小値±0.7mm
ばね指数 8以上15以下
1級・・・±1.5%、最小値±0.5mm
2級・・・±3.0%、最小値±0.7mm
3級・・・±4.0%、最小値±0.8mm
ばね指数 15以上22以下
1級・・・±2.0%、最小値±0.6mm
2級・・・±4.0%、最小値±0.8mm
3級・・・±6.0%、最小値±1.0mm
腕部の長さの公差(許容差)
ねじりコイルばねの腕部は、材料の線径(単位mm)によって5つに区分されています。
線径 0.1以上0.5以下
1級・・・±2.0%、最小±0.3mm
2級・・・±3.0%、最小±0.5mm
3級・・・±4.0%、最小±1.0mm
線径 0.5越え1.0以下
1級・・・±2.0%、最小±0.5mm
2級・・・±3.0%、最小±0.7mm
3級・・・±4.0%、最小±1.5mm
線径 1.0越え2.0以下
1級・・・±2.0%、最小±0.7mm
2級・・・±3.0%、最小±1.0mm
3級・・・±4.0%、最小±2.0mm
線径 2.0越え4.0以下
1級・・・±2.0%、最小±1.0mm
2級・・・±3.0%、最小±1.5mm
3級・・・±4.0%、最小±3.0mm
線径 4.0を越えるもの
1級・・・±2.0%、最小±1.5mm
2級・・・±3.0%、最小±2.0mm
3級・・・±4.0%、最小±4.0mm
腕の自由角度の公差(許容差)
巻数によって、4つに区分されています。巻数が多いほどバラツキます。
巻数 3以下 1級・・・± 8° 2級・・・±10° 3級・・・±15°
巻数 3越え10以下 1級・・・±10° 2級・・・±15° 3級・・・±20°
巻数 10越え20以下 1級・・・±15° 2級・・・±20° 3級・・・±30°
巻数 20越え30以下 1級・・・±20° 2級・・・±30° 3級・・・±40°
腕の曲げ角度の公差(許容差)
1級・・・±5° 2級・・・±10° 3級・・・±15°
ばね特性の公差(許容差)は、ねじりコイルばねの場合には一般的には指定しません。腕の自由角度に公差(許容差)を付けることで、間接的にばね特性を管理することが多いです。
ねじりコイルばねにはさまざまな端末形状があり、それに応じた取り付け方法や案内棒があります。ばね特性は、これらの状態がすべて影響してくるので、試験機で測定するときには、当事者間で測定治具などを製作し、打ち合わせる必要があります。
ねじりコイルばねのばね特性の公差(許容差)は、次の式で求めます。
±{(計画ねじれ角度×ばね定数のバラツキβ1)+自由角度のバラツキβ2}×ばね定数
規格では、ばね定数(たわみに対するねじりモーメント)のバラツキをβ1とし、1級から3級までしてしています。また、自由角度のバラツキをβ2とし、巻数によって3つの区分が指定されています。
β1:ばね定数のバラツキ(たわみに対するねじりモーメント)
1級・・・0.03 2級・・・0.05 3級・・・0.08
β2:自由角度のバラツキ
巻数 3越え10以下 10°
巻数 10越え20以下 15°
巻数 20越え30以下 20°
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