創業者の遺言-昭和59年 フセハツ工業 新年会の挨拶
吉村篤古い新年会の資料を発見
先日、社長室の書庫にある過去の資料を整理していたら、古い便箋が2枚出てきました。昭和59年の新年会の挨拶原稿です。
昭和59年の12月にフセハツ工業創業者の作田忠雄が亡くなっており、最後となる新年会の挨拶原稿でした。もちろん、この挨拶をしたとき、年末に急死するとは本人は思ってもいませんでした。
読んでみると、会社経営の基本は現在も当時も何も変わっていないと思うと共に、「本社に新工場を建設する」という残された夢を30年越しに実現する時期がようやく来たように感じ、感慨深いものがありました。
以下、昭和59年のフセハツ工業新年会での社長挨拶の全文です。
新しい年を迎えて
昭和59年の新春にあたりまして、皆さんと共に新しい年を迎えることが出来まして、心から感謝いたしております。
過ぎ去った一年を振り返って見ますと、昨年はほんとうに色々な出来ごとが多かった一年で御座いました。
工場内の配置替え、また工場・倉庫の整理・整頓と非常に変化の多い年で御座いました。
また、職場の通路を広くしまして事故を起こさないよう作業の安全性を高めてまいりました。
その効果は一歩一歩良品の生産に結びつきまして品質も非常に良くなりました。
また、納期の点も昨年は大きなトラブルも無く、無事に年を越すことが出来まして、皆さまのお陰様と感謝いたしまして、この席を借りまして厚くお礼申し上げます。
事業内容について
私共の会社の生産内容で御座いますが、自動車用クラッチばねは総売上の38%を占めております。
一般用のばねが40%でスポーツ商品は22%となっており、本年はスポーツ商品が大幅に伸びるんではないかと思います。
私共の会社は各部署に有能な人材が配置されておりまして、また全員がその職場のプロで御座いますので、安心出来る良品の製品が生産されております。
私共の会社も、今日まで厳しい局面も御座いましたが、お陰様で無事に乗り切れたと思います。
新工場の建設
今年は、「新工場の建設の年」で御座いまして、ぜひ実現したいと念願しております。
フセハツ商事も順調に伸びて来ておりますし、ツキセ工場はやっと軌道に乗って安心しております。
着工は今年の11月頃になると思います。「工場の姿は企業の顔」と言われております。
今年も相変わらず健康でお互い頑張って参りたいと思います。皆さんよろしくお願いいたします。
今年の目標
今年の目標なんですが、昨年同様、整理・整頓を基礎にしまして、作業の改善、検査治具等の改良をしまして、品質の向上を図って参りたいと思います。
昨年は自動車事故が多かったように思いますが、今年は運転に良く注意して、「交通事故はぜったいに起こさない」という信念で頑張って戴きたいと思います。
本日は心ばかりの新年会で御座いますが、お互いに今日は愉快に楽しく時間の許す限り、御ゆっくりとお過ごしをお願いしまして、新年の挨拶とします。
「創業者の遺言-昭和59年フセハツ工業新年会の挨拶」