東大阪新聞に掲載されました。「発条(ばね)を作って72年」
吉村篤東大阪新聞
ばねを作って72年
フセハツ工業株式会社は、1946年(昭和21年)に作田忠雄さんが創業した「ばね作」がそのルーツだ。
1950年(昭和25年)に株式会社布施発条工業所として法人化、1966年(昭和41年)に現在の社名・フセハツ工業株式会社に社名変更している。
4代目社長の吉村篤さんは1973年7月生まれの44歳、3代目の父親から社長を引き継いで4年目を迎える。
ばねはスプリングとも称するが、鋼等の材料を螺旋状に巻き、または折り曲げなどして、その弾力を利用するものだ。
衝撃の緩和、力の蓄積などの目的で要素部品として用いられている。
ばねは身の回りの様々な商品に内蔵されている。
パソコン・携帯電話・メガネ・医療器具を始めとして、原子炉・船舶・自動車・航空機部品等々、広範な応用範囲で使用されている。
ばね製品には押しばね・引きばね・ねじりばね等があり、材質もピアノ線・硬鋼線・ステンレス鋼線・リン青銅線など様々だ。
ばね製作は1個の試作から1ロット何百万個の大量生産まで、フレキシブルに多品種少量生産に対応している。
72年間の長きにわたって作り続けたばねは数万点以上のアイテム、とても数えきれないほどだ。
売り上げの40%超が自動車メーカー向けであり、マニュアル車用のクラッチ部分にフセハツ工業性のばね(ワイヤーリング)が組み込まれている。
超量産品のばねはコスト的に合わないので、商品戦略は必然的に付加価値の高い製品に移行して行く。
国内メーカーが生産中止した洗濯バサミの輪・ピンチリングの話は面白い。
当然ほとんどの顧客は海外メーカーの廉価品を発注するわけだが、日本製にこだわる客先があり、注文をもらい月産数トンほど納入している。
顧客は大阪一円から関東を含めて600社超と取引している。
従業員は48人、顧客に対しては専属の営業担当者が全面的にサポートする体制をシステム化している。
1998年に創立50年史「ばね物語」を刊行しており、創業者・作田忠雄さんの社訓「良い人間が良い製品を作る」、「理想的な企業は、理想的な家庭を建設する」のポリシーが脈々と流れている。
社員に対する投資も積極的だ。外部研修・セミナー参加・夜間大学への通学・関連資格の受講などの費用を全額会社負担している。
これからもホップ・ステップ・ジャンプと、ばねの利いた経営が期待される。
(小川秀人)
フセハツ工業株式会社
代表取締役社長 吉村篤
東大阪市西堤本通西1-3-43
電話06-6789-5531 FAX06-6789-5536
東大阪新聞 平成29年9月15日(金)